相続できない場合がある―相続欠格

まず、相続欠格という制度をご紹介します。
これは、例えば典型的には、被相続人を殺害した場合です。
この場合で、被相続人が殺害者の父であるとき、
殺害者は父の相続人になることができないのはもちろん、
母の相続人になることもできません(民法891条1号)。
なぜなら、この条文には、
「――相続について――同順位にある者を死亡するに至らせ――」
とあるからです。
被相続人の配偶者と子は、被相続人の相続について同順位であるため、
この場合の父の殺害者は、母の相続人にもなることはできません。
また、これが殺害まで至らず、
殺人未遂にとどまったとしても同様の結論になります。
ただし、この殺害者等が刑に処せられなかった場合はこの限りではありません。
例としては、殺害者等が心神喪失であったため、
刑が免除された場合(刑法39条1項)等が考えられるでしょう。

また、被相続人が殺害されたことを知っているのに、
これを告発しなかった者も、相続人となることはできません(民法891条2号)。
ただし、殺害者が自己の配偶者だったり直系血族(親や子など)だったりする場合は、
告発義務はありません。
家族の情を尊重する趣旨です。
兄弟姉妹の場合はこの趣旨から外れ、告発義務が発生することに注意が必要です。