光の明るみの中にだけ隠せるよいもの

光の明るみの中にだけ隠せるよいもの


2026年6月16日


皆様にとって「一番泣ける楽器」は何でしょうか?
「一音で泣ける」というオーボエはもちろん候補になりますし、
あとはヴァイオリンやチェロ、ピアノ、声楽あたりも挙がるでしょう。
また、自分のやっている楽器(私の場合はクラリネット)が泣けるという方も多いかもしれません。


では私はどうかというと、私が一番泣ける楽器は実はトランペットです。
それも長調のファンファーレ、しかも夜明けの歓喜なのだけど、
どこか夢破れた朝のファンファーレのようなトランペットが一番です。
ハンス・ロットの交響曲で言えば、有名な第1楽章冒頭第一主題のトランペットではなく、
第4楽章主部の主題を弦楽器が演奏した後にフォルテで応えるトランペットです。
こういうのが好きなあたり、前世は落ち武者か何かだったのかもしれません。


私は根っからの一匹狼なので、人前で泣くことは滅多にありません。
でも、泣きたくなることはとても多い人生です。
ですから、人知れず泣いています。
どうするかというと、夜明けのランニングの時に泣くのです。
帽子もサングラスもしているし、汗なのかなんなのかわからない状態で泣けば、
誰にも泣いているとはわかりません。
それに、忙しい朝に道行く一人のランナーに、
いちいち関心がある暇な人もいないはずです。


溜めこんだ哀しみは朝日の光に隠し、シャワーの水と共に流してしまいます。
これでまた一日を気持ちよく始められるというものです。